紹介が遅くなりましたが,債務不履行論の最近の状況やドイツ法等の改正法の内容にも触れられていますので,一読の価値があると思い,紹介した次第です。
読む時間のない方のために いくつか内容を紹介します。
1 債務不履行3分体系(遅滞,不能,完全履行)を,その母国であるドイツで基本的に廃棄
2 原始的不能の場合でも契約は無効にならないというのが最近の立法例及び取引ルール
3 瑕疵担保責任は,契約責任説が世界的に完全な主流に(法定責任説であったドイツすら改正法で契約責任説へ)
4 債務不履行解除の要件として「帰責事由」を不要とするのが最近の立法例の主流
(なお,こないだの日本民法口語化の際も,法務省は民541条に「帰責事由」を明示しようとしたが,学者の反対で明示せず)
5 債務不履行に基づく損害賠償の要件の「過失」については,無過失(不可抗力であること)を抗弁とするのが最近の立法例の主流。