岡口基一の「ボ2ネタ」

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履行請求権と契約責任を語る 鼎談民法学の新潮流と民事実務16回@判タ1244号22頁

この鼎談は毎回面白いのですが,特に今回は読み応えがありましたね。
履行請求権については,債務不履行の結果であるとするいわゆるremedyアプローチが,民法学者のトレンドのような気がしていましたが,
そうではなく,履行請求権は,基本的には,契約等の合意の効果であるという,従来のアプローチからの,森田修教授,加藤雅信教授及び加藤新太郎判事による議論です。

今度の,日本の民法改正も,ドイツ,フランス等のヨーロッパ諸国における債権法の改正に合わせていくイメージがありましたが,
森田教授は,国際的統一への一辺倒,特にゆがんだ形での一辺倒を疑問視され,また,諸外国が債権法を改正するからといって
それだけの理由で,日本も債権法を改正しましょうというのはどうかとされています。

今後の民法改正をフォローしていくためにも,ぜひ読んでおきたい内容になっていました。

森田教授は,民法541条催告の規範的要件化と要件事実論(ジュリ1158号106頁)なんて論文を書かれていたのですね。
*これを第三版の要件事実マニュアルで参考文献にするかはまた別問題ですが(^_^) この本はあくまでも実務書なので・・。


森田教授の「債権回収法講義」(有斐閣)は,実務家にも大変有用であるそうで,加藤判事は,若い裁判官や司法修習生に薦めているそうです。
管理人も,ぜひ読んでみようと思います(と,最後は,優等生的にまとめてみました(^_^))。