岡口基一の「ボ2ネタ」

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ライプニッツの原審を覆しホフマンを採用した高裁判決

札幌高判平成20年04月18日

民事執行法等における中間利息の控除に当たっては,複利方式であるライプニッツ方式ではなく,民法が前提とする単利計算(民法405条)を用いたホフマン方式により行われているのであるから,法的安定及び統一的処理の見地からすれば,損害賠償額の算定に当たり,被害者の将来の逸失利益を現在価額に換算するための方式は,ホフマン方式によらなければならないというべきである。
 なお,実質的に考えても,本件のように逸失利益算定の基礎収入を被害者の死亡時に固定した上で将来分の逸失利益の現在価値を算定する場合には,本来,名目金利と賃金上昇率又は物価上昇率との差に当たる実質金利に従って計算するのが相当であるところ,本件事故時における実質金利が法定利率である年5パーセントを大幅に下回っていたことは公知の事実である。
 であるにもかかわらず,法的安定性の見地から民事法定利率を用いるべきであると解する以上,被害者が被った不利益を補填して不法行為がなかった状態に回復させることを目的とする損害賠償制度の趣旨からして,被害者が受け取るべき金額との乖離がより少ないと考えられるホフマン方式を用いるのが相当である」

http://kanz.jp/hanrei/detail.html?idx=3198