岡口基一の「ボ2ネタ」

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要件事実問題集1問について,読者の方からご質問がありました

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質問

第1問の弁済の提供に関してですが、平成17年3月31日の受領拒絶のみを摘示するのは誤りでしょうか。
最判昭和45年8月20日民集24巻9号1243頁は「ある時点において提供された賃料の受領拒絶は、特段の事情がないかぎり、その後において提供されるべき資料についても、受領拒絶の意思を明確にしたものと解するのが相当である。」としています。
たった1ヶ月分の受領を1回拒絶しただけでは弱いですし、それ以後の拒絶も摘示するのが自然とは思いますが、それ以後の受領拒絶は立証できないことも有るでしょうし、最低限の主張として成り立つのか気になりました。


管理人が返信をした解答

「弁済の口頭の提供も不要であること」という要件事実は,
事実要件というよりは,もはや,評価要件というべきですが,
例えば,規範的要件については,過剰主張が許されるとされています(要件事実マニュアル上巻56頁,伊藤滋夫・要件事実講義261頁参照)。
これは,評価するのは裁判所ですが,当事者と裁判所で,評価のために必要な事実の範囲についての認識の相違がある可能性があるからです。

本問においても,同様に,過剰主張が許される場面と考えられますから,
主張できる事実はすべて主張しておく方がいいと思います。