建物状況調査とは、建物の基礎、外壁等の部位ごとに生じているひび割れ、雨漏り等の劣化、不具合の有無を目視、計測等に調査するもの。
820万戸にも達する中古住宅の流通促進のため、
宅建業法は、平成28年改正の際に、建物状況調査の結果の概要の説明等についての規定を追加。
平成29年民法改正では、契約不適合責任として、履行利益まで損害賠償が認められるようになった(現行法では瑕疵担保責任として信頼利益にとどまる)から、中古住宅の売主はインスペクションを重視せざるを得なくなる。
ちなみに、日本以外の先進国では、インスペクションが工程ごとに複数回の第三者機関により実施されており、また、保険制度との組み合わせで、非常に信頼のおける中古不動産の取引がなされている。
日本では、現在は、物件の瑕疵を発見できなかったことが不動産仲介業者の責任とされがちであるが、第三者機関制度などが導入されれば、他の専門領域の調査責任へと分離されていくことになるであろう。
@内田貴ほか・講座現代の契約法各論Ⅰ95頁(2019年、青林書院)
将来的にアメリカとのFTAは避けられず、それにより一気にアメリカの制度が日本にも入ってくるという見方もあるようですが、そういう外圧ではなく、日本自身で、安全な不動産取引の在り方を考えていきたいですね。
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