民法改正:賃借人が身寄りもなく死んでしまったら、賃貸人は、死後に発生した損害の賠償等を誰に請求すればいい?
これまでは、賃借人の保証人に請求していましたが、今後は、そうはならなくなるかもしれないという話です。
賃借人の死亡後に、死亡後賃借物が明け渡されるまでの間の賃料債務、原状回復債務、逸失利益に係る損害賠償債務などが発生します。
民法改正後は、賃借人の死亡により,保証の元本が確定する(民465の4第1項3号)ことになったため、死亡後に発生した債務は、元本確定後に発生したものとして、保証の範囲に含まれないと解釈されるおそれが生じたのです。
もし含まれないとすると、賃貸人としては、これに備えた防衛をしておく必要があります。
例えば、保証人ではなく共同賃借人にしておく、死後の債務は別建てで特定保証させておくなどであり、現に、そういう防衛をし始めている例もあるそうです。
ところが、山野目章夫教授によると、上記の各債務も保証の範囲に含まれるそうです。当事者の意思としてもそうであるし、保証の当時から将来の特定された債権として保証の範囲に含まれていたと考えていいそうです。
岡弁護士など、他のパネラーの方々(実務家)は、これにいたく感動(笑)。
「裁判官が採用してくれるかどうかわかりませんが、山野目説を聞いて、非常にうれしかったです。」
NBL1161号4頁