岡口基一の「ボ2ネタ」

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 大阪地裁における民事執行法H15改正の検証等 坂本寛判事 判タ1205号5頁

 新法適用後の不動産執行の現状についてフォローできます。
 また,収益執行における論点の解説は,実際に事件を担当されている方々に参考になると思います。
 読む暇のない方のために,エッセンスだけ(^_^)。
1 不動産収益執行は,賃料の物上代位や強制管理にはない利点があり,利用されている。管理人による修繕等により物件価値を高め,高価での任意売却等につなげるという使われ方もされている。
2 内覧(買受け希望者が予め見学できる制度)は,ほとんど利用されていない。
3 保全処分の要件が緩和され,相手方を特定しない保全処分なども申し立てられるようになったが,現在の好景気もあって,保全処分全体の利用率は顕著に低下している。
4 債務者の財産開示は,そこそこ申し立てられているが,金融機関による申立てはそれほど多くなく,養育費等の個人債権者による申立てが意外と多い。強制力のない財産開示に実効性はあまりないが,過料による制裁を背景に,債務者を出頭させ,和解などの交渉をする糸口にしようというねらいもみえる。