岡口基一の「ボ2ネタ」

2003年から続いている老舗「司法情報」ブログです。過去の司法記事の検索やリンクバーでの最新情報のチェックが便利です

2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

供述弱者問題

供述弱者問題 日本の刑事司法が、西山美香さんの再審無罪事件によって学習したはずの問題です 日本の刑事司法に「学習能力」があるのかが問われている事件があるようです https://news.yahoo.co.jp/articles/d10071d66bd39125d1e186404c2741991098b845 その…

改正民法で司法試験に合格したのに・・・

司法試験に合格して司法研修所に入所した74期司法修習生が、 導入修習で、改正前民法の問題が出るので、面食らったそうです(^_^) 2回試験も改正前民法で出題されるのではないかという噂まであるそうですが 問題はまだ作っていないでしょうから、ぜひ改正…

最近の実務家は,要件事実ができてない by村田渉元判事(現 中央大大学院教授)

村田渉元判事(現 中央大大学院教授)曰く 1 最近の実務家は,要件事実ができてない。 「訴状や準備書面において,必要十分な記載となっていないものが少なくない。「要件事実は黄昏か」などと言われて久しい。」 2 司法研修所は,事実認定教育が中心とな…

権利抗弁って何?

同時履行の抗弁,留置権の抗弁,単純保証の催告・検索の抗弁は「権利抗弁」と言われているけど,そもそも,権利抗弁って何? 権利抗弁について詳しくわかる論文が,坂田宏・民商法雑誌110巻6号974頁 この論文によると, 同時履行の抗弁権は,「訴訟上…

全部ぶち壊し(^_^)

この解釈変更のプロセスに問題があったとして、 諮問委員会を立ち上げて意見をまとめたり、その後も法務省で再発防止策を検討したんだけど あれって何だったの? 「20日の衆院法務委員会で、上川法相は、昨年1月の解釈変更は適正に行われたと述べた」 https:…

死刑裁判やり直し、最高裁「認めない」 元判事らは「説得力なし」と批判

死刑裁判やり直し、最高裁「認めない」 元判事らは「説得力なし」と批判 大崎事件決定で猛批判を浴びた「第一小法廷」です 元東京高裁判事の木谷明弁護士 「一応の理由らしきものは書いてあるが、弁護側主張を挙げつつ確定判決をなぞるだけで何も言っていな…

裁判官は渉外訴訟が苦手

共有物分割訴訟で、当事者は全員日本在住の日本人ですが、共有物は上海にあるマンション。 東京地裁は、国際裁判管轄が日本にあるとした上で 民事訴訟法3条の9に該当するとして、訴えを却下しました。 いやいや、ちょっと待った・・。民事訴訟3条の9も,…

大阪地裁に差し止められた大飯原発3,4号機は,何が問題だったのか

大阪地裁に差し止められた大飯原発3,4号機は,何が問題だったのか https://www.lawlibrary.jp/pdf/z18817009-00-140972007_tkc.pdf 黒川哲志教授(早稲田大学) 原発施設は,地震による加速度によって作用する地震力に耐えられるものでなければなりません…

医療事件は、建築事件のように、専門家調停や専門委員とはならない

医療事件は建築事件のように専門家調停や専門委員とはならない 令和元年の東京地裁医療集中部 専門委員関与事件はわずかに9件,付調停事件はゼロ件だそうです。 @法曹時報72巻7号133頁 その他の今日の司法ニュース ネット中傷、投稿者特定を迅速に …

公害の被害者に あまりにも 冷たい国 そして裁判官

公害の被害者って、何も悪いこともしていないのに大変な被害に遭ったのだから、真っ先に救済されるべきなのに、 この国では全くそうはならない。 それどころか、50年以上も放置されたあげく、 今になって、裁判官たちから、 50年前に魚を食べていたこと…

岡口分限決定Ⅱに対する批判 令和2年度重要判例解説を入手しました

岡口分限決定Ⅱに対する批判 川岸令和早稲田大学教授によるものです @令和2年度重要判例解説3頁(有斐閣) 「本決定(=岡口分限決定Ⅱ)のように,「品位を辱める行状」を広範に定義することは,裁判官が生き生きと活躍する司法にふさわしいかは疑問である…

学者裁判官が絶滅した日

「少数派ではあっても昔から続いてきた学者裁判官の伝統も、今では細りつつある。まとまった研究で自己の司法観や訴訟観を示すような裁判官は、私の世代ぐらいのあと、あまり出ていない。」 https://news.yahoo.co.jp/articles/81b3cb8f1deb21bc6719e85dd3b7…

台湾で同性婚への理解が広がった経緯

台湾で同性婚への理解が広がった経緯 「台湾は民主化の過程で、社会の多様性を尊重することの重要性を学んできました。そのような中で、特に若い世代を中心に同性婚に対する理解が広がってきました。 そして、実際に同性結婚の特別法施行後、「一男一女」の…

台湾で同性婚への理解が広がった経緯

台湾で同性婚への理解が広がった経緯 「台湾は民主化の過程で、社会の多様性を尊重することの重要性を学んできました。そのような中で、特に若い世代を中心に同性婚に対する理解が広がってきました。 そして、実際に同性結婚の特別法施行後、「一男一女」の…

物権法:共有と合有と総有

物権法:共有と合有と総有 総有とは,ゲルマン人の地域的共同体の土地支配についてゲルマニストが所有の一類 型として構成した概念である。具体例として権利能力のない社団の資産がある。 合有も,ゲルマニストによって構成された一類型であり,古代ゲルマン…

不動産に関する情報取得手続

5月1日にスタートする「不動産に関する情報取得手続」(民事執行法205条) 債務名義を有している債権者等が裁判所に申し立てることによって、裁判所が登記所に対して、当該債務者が登記名義人となっている不動産を網羅した形で情報の提供を命じる手続です…

岡口分限決定Ⅱが、岡口分限決定Ⅰに続き、重要判例解説で批判されています。

岡口分限決定Ⅱが、岡口分限決定Ⅰに続き、重要判例解説で批判されています。 「憲法判例の動き」で、川岸令和教授が、岡口分限決定Ⅱについて、「本決定は,前決定に引き続き,表現の自由を真剣に捉えようとする姿勢に欠けていることが懸念される」などと批判…

弁護士会のIT化 by井垣孝之弁護士

「大阪弁護士会の新会員専用サイトがリリースされました。 新会員専用サイトの構想は、2015年、私が弁護士1年目の冬に始まりました。 当時、広報委員会の市民HP部会で旧会員専用サイトの取り扱いについて議論していました。その中で、私が意見書を書き上げ、…

ひえ~。民法改正の趣旨を理解していないのか 「要件事実論30講」

ひえ~。民法改正の趣旨を理解していないのか 「要件事実論30講」 民法112条が「表見代理」の規定なのか否かは実は争いがあったので 平成29年民法改正は,民法112条について,民法109条や110条と同様に,本人は「その行為についての責任を負う…

司研・手引記載例集は、相変わらず、「貸借型理論」に立ってるね・・。

司研・手引記載例集は、相変わらず、「貸借型理論」に立ってるね・・。 ロースクールが発足し,要件事実教育がロースクールに移行したことで、 司法研修説所の諸見解が民法学者らの目に留まることになり、 民法学者らから「なんじゃこりゃ?」と猛批判を浴び…

訴追委員会 またもや結論先送りか

裁判官訴追委員会 俺の件については、今回は、どうなったのでしょうか・・・。 もう、何年も継続審議のままです。 https://www.sotsui.go.jp/news/index.html 令和3年 └ 4月1日(木) 本日、裁判官訴追委員会を開会しました。裁判官訴追審査事案(55事…

同性婚札幌地裁判決の解説です by渡邊泰彦教授(京都産業大学)

同性婚札幌地裁判決の解説ですby渡邊泰彦教授(京都産業大学) 憲法14条違反を解消する方法はいくつかありますが、 端的に同性婚を認める方向に向かうべきであるというご意見です。 https://www.lawlibrary.jp/pdf/z18817009-00-041182021_tkc.pdf それに…

民法:即時取得

大型建設機械は,簡単には即時取得が認められません。 即時取得を認めた原審を仙台高裁がひっくり返しました。 仙台高判令和2年8月6日金融商事判例1607号51頁 大型建設機械の即時取得は、 要件事実がガッツリ出題されていた「初期の新司法試験」に…

裁判官訴追委員会 林道晴裁判官らの不訴追を決定

岡口基一裁判官に対しツイッターを止めることを強要するなどしたとして 平成31年2月に訴追の申立てがされていた林道晴裁判官他1名について 裁判官訴追委員会は,2年以上審理を続けましたが,不訴追を決定しました。 www.facebook.com www.facebook.com www.f…

大阪高裁に続き東京高裁でも再審事件を放置

これが日本の刑事司法 再審事件を放置する裁判所 天竜林業高校事件では,東京高裁が4年半も事件を放置した末,何の事実審理もしないまま,即時抗告を退けたそうです。 https://www.asahi.com/articles/DA3S14861199.html その他の今日の司法ニュース 氏名読…

大島さん  要件事実マニュアルの指摘を受け入れてくれた(^_^)

定期建物賃貸借の終了は,賃貸期間満了の1年前から6か月前までに,賃貸借終了の通知をしなければ,賃借人に賃貸借の終了を対抗できません(借地借家法38条4項)。 ここに「対抗できない」との文言がありますが,別に賃貸人と賃借人が対抗関係にあるわけ…

やはり共著か  大島要件事実

賃貸借契約に基づく建物明渡請求に対する留置権の抗弁 この抗弁では,「被告の現占有」の主張立証が必要。 大島要件事実上381頁には 「被告の現占有は請求原因で主張立証されているので,この抗弁で主張立証する必要はない」との記載。 いやいや、請求原…

逮捕するかしないかを決める際に,国民感情を考慮する警察

「逮捕の必要性にあたって「国民感情」を考慮するのが警察の流儀です。裁判官は考慮しませんが、警察はここを重視しています。逮捕を社会的制裁として活用しています。 事件評価(何を立件して捜査するか)についても市民感情が考慮されています。世論やマス…

夾雑物発現で猛批判を浴びた裁判長 定期異動で交代

夾雑物発現で猛批判を浴びた裁判長 定期異動で,池原桃子裁判長に交代 交代したのは,同性婚訴訟の田中寛明裁判長 「同性カップルの個別事情は、夾雑物(きょうざつぶつ:余計なもの、邪魔なもの)だから、本人尋問は必要ない」と発言して批判を浴びたものです…

史上最低の最高裁大法廷決定の担当調査官の名前が判明しました

手続保障を全く欠く裁判をしたため、 当然のように事実誤認をし それに基づいて不利益処分をしたという 史上最低の最高裁大法廷決定 その詳細は→https://okaguchik.hatenablog.com/entry/2020/12/08/190206 その担当調査官の名前が分かりました 55期の舟橋…