岡口基一の「ボ2ネタ」

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すべてを疑ってみている法律家

http://diabetesinsipidus.blog75.fc2.com/blog-entry-326.html
裁判官も,あらゆる証拠を,信用していませんね。特に,フォーマルに作成されたものほど,疑いながら読んでいます。
中立な第三者の証言は信用できる? いいえ,やみくもに信用したりは絶対にしません。
法廷で,直接聴く証言は信用できる? いいえ,それでは,演技が上手な人が常に勝つことになってしまいます。
真実は,生の証拠の片隅に宿っているものです(例えば,看護記録に手書きで書かれた記載など)。


もっとも,これまでは,職人芸的な探偵顔負けの裁判官が少なからずいたのですが,
裁判員制度の開始で,証拠提出が極端に制限され,生の第1次証拠が極力提出されなくなる(検察官がダイジェストにまとめた二次証拠に替えられる)ことや,審理期間があまりにも短縮されること(ほぼ1日で判断しなければならない)で,このような職人芸は継承されることなく,絶滅するおそれがあります。
裁判員制度は,国民が,検察官を100%信頼し,生の第1次証拠から真実を探す作業を全面的に当事者のみに託した制度であり(少なくとも未提出の生の第1次証拠から真実を探せなかったことについて裁判官は何の責任も問われないことになります),かつ,法廷の証言ですべてが明らかになるという誤解?に基づいた制度であるとも言えますね。