岡口基一の「ボ2ネタ」

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財産分与の申立てがリスキーに

離婚の財産分与の申立てが認められなかった場合、
単に申立てが却下されるというのがこれまでの実務。

 

しかし、今後は、そうではなく、
相手方が給付を受けるべき権利者と認められたときは、裁判所が、申立人に対し、相手方に給付をするよう命ずるおそれがでてきました

 

こっちが申し立てたにもかかわらず、相手方の財産分与が認められてしまうということです。

 


しかも、相手方の財産分与の除斥期間(2年)が経過していたため、相手方自身による財産分与の申立ては、それを理由に却下されていた場合であってもです。

 


今後は、こういう流れになりそうでして、
実際に、既にそういう高裁決定も出ています(広島高決令和4年1月28日判時2550号37頁)

そのため、財産分与の申立てが却下された場合、それによって形式上は「全勝ち」をした相手方が、即時抗告をすることもできます(最決令和3年10月28日)。

 


なお、財産分与の審判の申立ては取下げの制限があるため、
審理の状況から、相手方の財産分与だけが認められるおそれが出てきても、
その時点で財産分与の申立てを取り下げることもできません。

 

 

 

 

その他の今日の司法ニュース

 

 


消費者被害を回復する裁判制度、利用拡大へ道 最高裁が初判断
https://news.yahoo.co.jp/articles/01cc006a7cd5b9c40bf4e6ac6b5fa16d4c4aa781
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92808

 

 

 


優生保護法訴訟の第一号は、仙台の新里宏二弁護士によるもの

それなのに、仙台高裁第1民事部は、まさかの請求棄却。

その後、仙台高裁第2民事部が、仙台第二次訴訟で、請求を認容し、
この訴訟の発祥の地で、権利救済判決をしました。

昨日は名古屋で権利救済判決

https://mainichi.jp/articles/20240312/k00/00m/040/107000c

 

 


覚醒剤密輸で無罪判決 40歳男性の裁判員裁判 東京地裁
https://news.yahoo.co.jp/articles/aac2cd91d25aae4091522953562178790053606a

 

 

 

石綿で肺がん、男性死亡 JR東日本に慰謝料支払い命令 対策不十分
https://news.yahoo.co.jp/articles/f0743cfa9f0aa56fb8d41437a0fd9f9c58910254

 

 


「公安」が受けた警視総監賞「冤罪」で返納 大川原化工機事件で 担当者の処分は否定
https://www.tokyo-np.co.jp/article/314783

 


裁判所速記官制度の維持と裁判における審理の充実を求める会長声明
札幌弁護士会
https://satsuben.or.jp/statement/2024/03/11/740/