岡口基一の「ボ2ネタ」

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評議で見えない誘導 「私たちの解釈」と壁

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/trial/337402/
「法解釈ではなく『私たちの解釈』がスタンダードになるまでには時間がかかるだろう」
法解釈は構成裁判官の権限(裁判員法6条2項1号)ですから,それを前提に裁判員に考えていただくのが基本だと思うのですが。
法解釈の説明を「誘導」と取られるのなら,全ての評議で「誘導」がなされていると思います。最初に構成要件や処断刑の説明はしているはずなので。
でも,法律の裸のテクストを裁判員に見てもらって,好きに議論してもらう,というのは「裁判員制度の完成形」ではないと思います。
そもそも「法解釈」でないもので裁いてよいのでしょうか?

大阪地裁の1例目も刑責の対象としては共犯分も対象とした上で,量刑事情として被告人の密輸量を基礎としたとの構成のようです。確かにあそこまで減刑し,その中心的事情に被告人のみの密輸量を示すと,実際の判断上は共犯とは別個の事件のように量刑したとの誤解も招くでしょうね。現に共犯事件として組織的になされた場合には,同量の単独事件と量刑上差異が生じるべきなのにその点の配慮が量刑上なされた形跡も報道では見受けられませんでしたし。控訴審の判断を見てみたかったという実務家は少なくないと思います。

先物取引員は,向い玉をすることを顧客に説明する義務があるとした最高裁判例

http://kanz.jp/hanrei/detail.html?idx=5181
向い玉とは,例えば,顧客が買玉を建ててれば,それの反対の売玉を業者が個人的に建てておくもので,
顧客が損した分,業者が儲かることになります(もちろん,その反対もあり得るのですが,業者が自分の儲けをもくろむ危険があり,また,業者は,顧客から,当該買玉を建てた手数料をもらいますから,二重に美味しいことになります)。

最判平成21年7月16日で,すでに同様の判断が示されていましたね。

みつかったようです

http://blogs.yahoo.co.jp/judge_nori/60690247.html
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/337393/
判決から2か月弱。裁判員対象事件の元被告人として初の再犯でしょうか。
保護観察付き猶予5年とした心配が的中しました。

スポーツの世界の進んだメソッド

http://mainichi.jp/life/housing/archive/news/2009/12/20091205ddm013100146000c.html

一見、無関係に思える動きを繰り返すことで、筋肉そのものの動き方が変わる。それが連なり無駄のない体全体の動きを作り上げる。
「私の意識」は、「私の身体」の司令塔なんかではない。体が勝手に学習し判断する。

神経生理学や脳科学の進歩でトレーニングの概念が変わってきているのでしょうか。
フェルデンクライス,ロルフィングなど私達が学生だった頃と全く違うアプローチが色々あるようです。

直葬 〜消える弔い〜

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/living/senior/309800/
「葬式に対する宗教界の意識と、人々の意識の乖離(かいり)には、相当なものがあるようです。」
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/topics/309451/

闘論 教員養成期間6年の是非(毎日新聞11/28)

ネットに上がっていないので以下要旨です。

安彦忠彦氏
 教師は人の「心」を育てる専門職であり,医師や弁護士と同様に専門職として扱うべき
 高学歴化する保護者の要求に対応し,対等に渡り合うためにも,教師の学歴を高度化する必要がある。
 PISA1位のフィンランドでは修士修了しないと教師になれず,教師が修士号を持ち,給与も高い専門職として社会的尊敬を得ているから。
 教員志望者は減るかも知れないが,その分本当に意欲のある人ばかりになるのではないか。
 ただし,必ず教師になれるという採用面での保障など,種々の条件整備が必要。
諸富祥彦氏
 貧しくてもガッツのある人こそいい教師になれる可能性を秘めているのに,6年制になればそうした志望者が激減する。
 大学院でいくら勉強しても教育現場のことは実際には分からない。悪戦苦闘を繰り返しながら対処していくことで教師は成長する。
 教育実習期間の延長で初任者段階では多少スキルアップして臨めるかも知れないが,それだけのために情熱があり,教師として最も成長する時期に2年間も学生生活を送るのはもったいない。
 現場の教師は要求の多い保護者や「毎日が運動会」のような学級対応ですり切れており,現場の教師のサポート体制づくりが急務。
 教職経験15年目前後の教師が1年程度大学などで学び直す長期研修制度は既に多くの自治体で行われており大きな成果を上げている。
 10年も経てば教育技術はがらりと変わり,一度学校を離れてスキルアップしたい気持ちは意欲の高い教師ほど強い。
 現場を知らない学生の養成期間を2年延ばすくらいなら,その代わりに30数年間の教師生活の中で3度くらい現場を離れて1年間程度学ぶ,現職教師の再研修に力を入れた方が遙かに効果がある。

【金曜討論】6年制教員養成 安彦忠彦氏、向山洋一
http://sankei.jp.msn.com/life/education/091218/edc0912180723000-n1.htm
向山メソッドの向山氏は「私に言わせれば、大学時代に授業のやり方や子供をまとめる動かし方について、ほとんど習っていないことが根本的な問題だ。その状態で6年やっても意味がない」

ちなみに諸冨氏は「『アントニオ猪木と10分間一本勝負できる権利』が出品された際87万円で落札し、実際に猪木と対戦した経験もある(結果は卍固めによるギブアップ負け)。」そうです(wiki)。

安定型最終処分場の検討委報告書

報告書は「従来方針の踏襲」にとどまり、関係者から失望の声も出ている。
http://mainichi.jp/select/science/news/20091123ddm016040021000c.html
「検討委は展開検査の実効性を否定せず、より徹底を図るよう提案」
http://mainichi.jp/select/science/news/20091130ddm016040012000c.html
環境省検討委の座長を務めた国立環境研究所の井上雄三・特別客員研究員は「報告書の内容が、司法判断や住民の感情とずれがあるのは認める。」

性分化疾患に、どう立ち向かいますか

http://d.hatena.ne.jp/annojo/20091130/p1
性分化疾患は、身体的には男性または女性に問題なく分化していながら、脳(心)が自覚する性との食い違いで悩む性同一性障害とは別の病気」