「要件事実」と「実体要件」は違う - 岡口基一の「ボ２ネタ」

履行遅滞の主張において、

債権者が「履行がなかった」ことを主張すべきなのか（債権者説）、

債務者が「履行があった」ことを抗弁で主張すべきなのか（債務者説）

債務不履行に基づく損害賠償請求権の「発生要件」としては「履行がなかった」ことが必要（債権者説）だが、

公平の見地から、この事実は債務者に「履行があったこと」の立証責任があると解すべきだから、

「要件事実」としては、「履行があったこと」が抗弁に回る（債務者説）。

つまり、両説は対立しているのではなくて、「実体要件」と「要件事実」は一致しないというだけのこと。

という俺の「独自」の見解を、要件事実マニュアル１巻５版５６頁に書いたんだけど、

内田貴・民法Ⅲ（第４版）１４２頁（２０２０年、東大出版会）が、これと同じ趣旨のことを書いていてくれていて、心強かったよ。

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