岡口基一の「ボ2ネタ」

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安全配慮義務の範囲を広げた裁判例

直接の労働契約がなくても,安全配慮義務の問題が生じることがあります。
労働の現場で、下請の従業員などを、
設備や道具等を用い事実上の指揮監督をするなどして、
実質的に管理している場合です。
この場合、この「実質的な管理支配性」があることが、安全配慮義務の発生要件となると言われています。
ところが、直接・具体的な指揮監督関係がなかったにもかかわらず,
この「実質的管理支配性」を認めた裁判例が出現しました
@東京高判平成30年4月26日判時2436号32頁・判タ1469号93頁
樹木の剪定を実際に作業していたのは、二次下請の従業員。
安全帯は二丁掛けにしなければならないのですが、元請や一次下請は、一丁掛けで作業をするよう、下に指示を出していました。
そしたら、案の定、二次下請けの従業員が、木から転落したというものです。
元受けや一次下請けは,この従業員の事実上の指揮監督をしていませんでしたが、この裁判例は、実質的管理支配性を柔軟に解して、元受けや一次下請にも安全配慮義務違反を認めたものです。
@なお、安全配慮義務については、要件事実マニュアル4巻672頁参照
 
 
 
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名古屋地裁にも教えてあげたい‥