使用貸借の目的物の固定資産税は誰が払うのか。
親族間紛争の事件で,よく問題になるよね。親族間での使用貸借って多いから。
新版注釈民法15巻110頁や,山本敬三・契約法545頁は,目的物の公租公課は
使用借人が払うと,結論だけさらっと書いてあるんだけど,
他方,中田裕康・契約法375頁は,固定資産税について,固定資産の所有者に課せ
られるものであるから,当然に借主負担になるわけではないとの見解
で,最判昭和41年10月27日の判例解説を見てみると,最高裁調査官も,中田説
に近い。
「判例は,使用貸借の目的物件に対する公租公課を,民法595条1項の「通常の必
要費」に含ませるとする見解は採っていないものと思われる。」
@高津環・最高裁判例解説昭和41年度441頁(判例集未登載の最判昭和41年6
月30日も付加的に挙げられている)。
さらに、東京地判昭和46年3月10日判時640号74頁も同じ見解
もっとも、他方で、反対の見解の裁判例も。
最二小判昭和36年1月27日裁判集民48号179頁,東京地判平成9年1月30日判時1612号93頁は、使用貸借の目的物件に対する公租公課が民法595条1項の「通常の必要費」に当たるとしています。
実務は真っ二つに分かれているようです。
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