岡口基一の「ボ2ネタ」

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司法修習生給与制廃止でバトル 弁護士会は反対、国「財政難」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100409-00000027-kyt-l26
個人資格か…。その個人資格が担っている仕事の公益性と,採算が合わないのに押しつけてる責任の大きさを考えてないんでしょうかね。
もし個人資格だと言い切るなら,国が弁護士に委託している仕事もきちんと経済的に適切な水準にするべきです。持ち出し,ボランティアで仕事をさせていることを隠して,個人事業主だ,公ではなく私だ,というのは欺瞞だと思います。個人事業主の弁護士達が背負っている事実上の公的負担をきちんと評価した議論をしないと,そういう公的負担の担い手はいなくなってしまいますよ。金が払えないならせめて正当な評価と感謝くらいはすべきでしょう。
司法は最後のセーフティーネットのハズです。事前規制から事後救済社会へ,とやってきたのに,その事後救済社会の基盤整備に金がかけられないことこそ,事後救済を必要とする国民に納得して貰えないのではないでしょうか。だいたいが,教育や福祉,更生保護などの本来色々な場面で国民の自立を支援するための体制の整備を渋っておいて,そのツケを背負わされた人達を支援する体制すら金を理由に渋るということがなぜ許されるのか全く理解できません。「国民の理解」という言葉が一人歩きをしていますが,選択肢の先に,リーガルサービスの受け手としての「国民の真意」が見えない議論になっている気がするのは気のせいでしょうか。

コメント欄でJPについての免除制のお話しもありましたが,仮に免除条件付きの貸与制にするにしても,JPさえ確保したら司法が回るという前提は全く誤っていると思います。そんなことも分からない人達が議論してるんでしょうか。せめて法テラスのスタッフも免除とか,そういう議論は出てきてしかるべきだと思います。それともJPの外部経験に公務員弁護士経験を入れて公的なリーガルサービス提供に乗り出すんでしょうか。しかし,公務員弁護士制度を整えても「国民の理解が得られない」なんて言って予算を絞り込まれるブラック事務所になるという恐ろしい予感もするところです…。そもそもこれ以上人を取られて本来的なJPの業務が回るのか,という不安もすごく強いのですが…。