http://mainichi.jp/select/news/20130227ddm012010063000c2.html
事務局が部会の議論すら無視したたたき台を出してくるのは,正に真似ること自体を目的にしてるからなんでしょうね。本当に良い物を作ろうとするのであれば,各界の一線級の方が議論した結果を無視できるはずありませんから…。相殺の遡及効とか,債権譲渡の対抗要件とか,あのたたき台を見たときに,部会の皆さんはどう思ったんでしょうか…。
「国際間の取引が増え、グローバルスタンダードを意識した改正を行うことは日本の競争力を強めることになる」
→国際間の取引に民法をそのまま適用する場面ってどれくらい有るんでしょうか…。
「民法が分かりやすく、使い勝手もよくなれば、中小企業などは弁護士を頼らずに済み、社会全体のコストはかえって少なくなる」
→もしそうなら,弁護士さん増員する必要なかったんじゃ…。それに弁護士さんの仕事を舐めすぎだと思います…。弁護士さんの仕事は法律の説明じゃなくて紛争リスクのコントロールに本質があると思うんですが…。それが民法変えただけで要らなくなるとは思えません…。
しかも,社会のコストは,契約書書換どころじゃありませんよね。制度の構築が必要な提案もあるわけですが,そのための費用って,どれくらいと見込んでるんでしょうか。今,それだけのコストをかけるだけの必要が本当にあるんでしょうか。ゼロベースで一から作る話じゃなくて,既に動いているシステムを変えるかどうかの議論ですから,「変える」側が変えるためのコストに見合う必要性があることをきちんと説明するべきだと思いますが,部会では,そのような議論自体が改正に非協力的だ,といわんばかりの非難を受けています。
正直,これだけの大改正をパッケージでどこまで塊にするかも検討の余地があると思います。独立して改正できるところもありますから,無理から全部変えへんでもええと思うんですけど。「民法改正」是か非か,という議論ではなく,中身の個別的な議論をしないと,大変なモノが紛れ込むことになると思います。