不貞相手に対する慰謝料請求は,実は二種類あるという最高裁判決(最三小判平成31年2月19日民集73巻2号187頁)の出現が,次の新たな論点を生んでいます。
それは,「破綻後の肉体関係である」という抗弁(最三小判平成8年3月26日民集50巻4号993頁)の取り扱いです。
潮見佳男教授の分類によると,この抗弁は,破綻に至らしめたことに対する慰謝料請求に対するものであるとのことです(家庭と法の裁判24号118頁)。
破綻に至らしめたことに対する慰謝料請求に対し,破たん後の不貞は,夫婦関係を継続するか否かという夫婦の自己決定権を侵害するものではないから,このことが抗弁となるとのことです。
ところが,現在の実務では,不貞自体に対する慰謝料請求に対しても,この抗弁が提出されています。そして,そこでは,破綻が先か不貞が先かという不毛の論争・主張が裁判で行われています(二宮周平・損害賠償法の軌跡と展望162頁(日本評論社))。
果たして,上記判例(前掲最三小判平成31年2月19日)の出現後も,現在の実務をそのまま続けるのか。それとも,被侵害利益に応じて上記抗弁の内容や位置付けを明確にする作業を実務家においてもしていくべきなのか。
みなさんは,どう思われますか?
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