交通事故訴訟
任意自動車保険における被害者の直接請求を受けて、保険会社が被害者に金員を直接支払いました。
これは、保険会社が被害者に対し「保険金」を支払っているのではありません。
加害者が被害者に負う損害賠償債務の履行を、保険会社が引き受けたものにすぎません。
要件事実マニュアル2巻523頁
ところが、それを勘違いし、保険金を支払っているとしてしまったのが高松高判令和元年8月30日金判1579号2頁
実は、当該保険契約の特約に従うと、保険会社は、上記金員の支払義務がなかったことが事後的に判明しました。そこで、保険会社は、不当利得返還請求をすることにしました。
保険金の支払であるとすると、保険会社は、被害者に対し、不当利得返還ができます。
しかし、損害賠償金の支払であるとすると、保険会社は、加害者に対し、不当利得返還請求をすることになります(いわゆる三者間の給付利得(要件事実マニュアル2巻233頁)が成立する場合を除く)。
高松高裁は被害者に不当利得返還義務を負わせてしまいました。これでは「被害者保護を重視する観点から疑問が残ります」(東大大学院の細田浩史さん@ジュリスト1559号119頁)。
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