敷金返還請求訴訟で,大抵問題になるのが,賃借人の原状回復ですが,近時,いわゆる通常損耗原状回復特約(賃借人に通常損耗についても原状回復義務を負わせるもの)について,最高裁判決を含む様々な判決がなされ,また,国交省のガイドラインなども作成されています。
本論文は,最判平成17年12月16日の評釈が中心ですが,それにとどまらず,この特約の有効性,成否など,この特約に関する各論点の裁判例が整理されています(学説も整理してもらえるともっとよかったと思いますが)。
原状回復義務の法的根拠という基本的な部分から説明してくれていますから,司法修習生やロースクール生やのみなさんも,一読しておくとよいと思います。
◇この論文は,改訂版の要件事実マニュアルで,引用予定です。