今年の予備試験論文試験「民実」の設問にこんな記述が
「当事者が準備書面に記載した再抗弁について
裁判所は、それを「主張させる必要がない」と判断した」
この記述が問題であると指摘したところ、詳しく教えてくださいとの問い合わせがありましたので、お答えをしておきました
今回の設問は、「裁判所は、当事者がその主張を「する」必要がないと判断した」しておけば問題がありませんでした。
それを、主張「させる」必要がないとしてしまったことが大問題です。
予備試験は、これから司法試験の勉強を目指すという初学者が対象であり、 民事訴訟の基本概念を覚えさせる時期です。
「裁判官の釈明を受けて、当事者が主張をする・主張を撤回する」というのを、「裁判官が当事者に主張をさせる・撤回させる」と表現するのは、意味は通じるにしても、より正確な表現があるということを、最初の段階でしっかり教える必要があります。
試験問題の文章はそれこそ長い時間をかけて一字一句試験委員らで確認するものであり、その段階で気が付いてほしかったものです。 試験委員らが劣化していると感じられるゆえんです。
当事者は主張をし、裁判官はその主張を「摘示」します。後者の段階で用いられるのが要件事実です。今では、こういうことも誰も判らなくなっており、そのため、ゼロからマスターする要件事実ではわざわざ第5章という一つの独立の章を設けてそれを説明しています。
伊藤塾要件事実講座では、同じ貸借型契約でありながら、その終了は、賃貸借だと貸借期間の「経過」なのに消費貸借だと弁済期の「到来」であることの理由など、言葉一つ一つの意味とそうなっている理由を正確に教えるようにしています。
これからも、初学者に、正確な表現するよう、教えていきたいと思います。
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