最判平成19年3月30日
http://kanz.jp/hanrei/data/html/200703/20070330105806.html
人事訴訟において,過去の養育費を求める附帯処分の申立てを却下した原審を破棄差戻ししたものです,
過去にも,この申立てを認めた最高裁判決はあった(最判平成9年4月10日民集51巻4号1972頁)のですが,平成16年の人訴法施行後は,これは救済判例にすぎないと位置付けるのが実務的な考え方でした(例えば,東京家庭裁判所家事第6部・人事訴訟の審理と実情(判タ社)16頁)。
というのは,過去の養育費は,婚姻費用に含まれるものですが,婚姻費用については,家裁において,離婚訴訟とは別個に,調停・審判において処理されているものだからです。
そこで,今回の判決の原審(東京高裁)も,過去の養育費を求める附帯処分の申立てを却下していたものですが,しかしながら,今回の最高裁判決は,この原審を覆したものです。
*なお,今回の最高裁判決と,最判平成9年4月10日の事例は,申立ての状況がほぼ同一です(財産分与の申立てがない,将来の養育費の請求がなされている)。
差戻し後,どのような処理がなされるかが注目されます。
◇この判例は改訂版の要件事実マニュアルに掲載予定です。