岡口基一の「ボ2ネタ」

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コンビニフランチャイズ訴訟で「特筆すべき判決」(判タ1234号12頁)

福岡高判平成18年1月31日判タ1216号172頁

 コンビニを開いてみたけど,儲かりませんでした。ってときに,
どうしてくれるんだ!って本部に文句が言えるかという問題です。
 なお,「絶対儲かりますよ」などと出店を勧められたといった事情はないようです。

 商売が上手くいくかいかないかなんて,まさに自己責任だっていう意見もあるとは思うのですが,
この判決は,出店にあたり,その場所で出店した場合の売り上げ予測を示さなかったとして,本部の責任(情報提供義務違反)を認め,開業費用など1000万円の賠償のほか,慰謝料165万円の支払まで認めています。

売上げ予測だって,お店を開く人間自身がすればいいので,この点だって自己責任じゃないかという考え方もあるかもしれません。この判決は,お店を開いた人間にも過失があったとして,2割5分の過失相殺をしていますが,従前の同種判決に比べるとかなり低い過失割合になっています。

ちなみに,この判決は,遅延損害金の利率を,年6分とした原審を,年5分に変更しています。契約締結上の過失責任って,債務不履行構成も可能なので,年6分の余地もあるようにも思いますが,この判決は,不法行為に類似するものとして,年5分としたものです。