→判決全文
http://kanz.jp/hanrei/data/html/200704/20070417144923.html
→判決情報
http://kanz.jp/hanrei/detail.html?cat=11&idx=1711
最判平成19年4月17日
原審判決は,最判平成18年6月1日よりも前に出ていました。
*この最高裁判決は,車両保険を請求するとき,保険事故が「偶然」(=被保険者(車両の持主などのこと)の意思に基づかず,或いは原因ないし結果の発生が被保険者から予知できずに)生じたことの主張立証責任は負わないとしたものです。
今回の判決は,この最判平成18年6月1日を受けて,保険事故が「盗難」である場合に,いかなる事実を主張立証すれば足りるのかを判示したものです。
結論は,車両保険の請求者は,「被保険者以外の者が被保険者の占有に係る被保険自動車をその所在場所から持ち去ったことという外形的な事実を主張,立証すれば足りる」というものでした。
保険約款上は,保険事故が「盗難」となっていますから,「盗まれました。」と言わなければ保険金がもらえない気がしますが,そうではなく,「第三者が持ち去りました。」と言えば足りるということです。「盗まれました」まで言わなければならないとすると,「保険事故が持ち主の意思に反して生じたこと」の主張立証責任を負わないとした最判平成18年6月1日と抵触するからです。しかし,一方で,「車が紛失しました。」だけでは足りないということです。これだけでよければ,紛失したとか嘘をついて保険金を騙し取ろうとする人がでてきますからね(こういうスタンスで報道している新聞記事もありますhttp://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/K2007041701460.html)。
なお,今回の最高裁判決よりも前に,さいたま地裁判決が同じ結論を出していましたね。
http://d.hatena.ne.jp/okaguchik/20070308/p1◇この判決は,改訂版の要件事実マニュアルに掲載します。