岡口基一の「ボ2ネタ」

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2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧

DIY型賃貸借

国交省主導で、新しい賃貸借のスタイルが広がりつつあるようです。 それは、建物賃借人が自由にリフォームできるタイプの賃貸借である「DIY型賃貸借」 (DO IT YOURSELF) 貸主は、現状有姿のまま貸し出すことができるし、長期間の居住が見込めるため安定し…

長時間労働に従事させたことに対し、疾患未発生でも損害賠償請求が認められた事例

長時間労働に従事させたことに対し、疾患未発生でも損害賠償請求が認められた事例 長崎地大村支判令和元年9月26日 水町勇一郎教授がジュリスト1539号5頁で評釈をされています。 水町教授は、「長時間労働そのものにより精神的損害等が発生すると観念…

分限裁判の申立書の謄本の送達がありましたが、左上に「機密性2」の表記が・・。

分限裁判の申立書の謄本の送達がありましたが、左上に「機密性2」の表記が・・。この表記の憲法上の問題点については、明日にでも明らかにしたいと思っています。ポイントは、不利益処分をする裁判であるにもかかわらず、秘密裁判が行われようとしているこ…

本日、仙台高等裁判所から、分限裁判の申立てをされました

まだ、申立書の送達はされておらず、おそらく、明日の郵便になると思われます。 送達され次第、また、その画像をここでアップしたいと思います。 なお、今回の申立てに対する反論は、既に明らかにしたとおりです↓ https://okaguchik.hatenablog.com/entry/20…

司法研修所で「要件事実教育」が復活していました(72期から)。

司法研修所で「要件事実教育」が復活していました(72期から)。 これまでは、「主張の整理」の起案をさせていなかったのですが、これをさせるようになったものです。 要件事実を全く教わらないまま法曹になってしまうという状況が何年も続き、さすがにこ…

民法改正と「請求の絶対効」

連帯保証人に催告(保証債務履行請求訴訟の訴状送達を含む)をしても, それによって主債務者が遅滞に陥るわけではない(=遅延損害金請求権が発生しない)。 でも、民法改正後であっても、特約によってそれを可能にすることはできるよね。 保証契約において…

SNSの画像で損害額が増額された例

名古屋地判平成30年7月27日交通民事裁判例集51巻4号918頁 ひき逃げ死亡事故(被害者は独身男性会社員)。 加害者(男性)が、事故後に、交際相手とデートしており、その写真が交際相手によってSNSに掲載されたことも、慰謝料の増額事情として考慮…

ハーグ統一売買法条約の加盟国数

国際売買契約における統一法としての機能を果たしているのがウィーン統一売買法条約(https://www.mofa.go.jp/mo…/gaiko/treaty/pdfs/treaty169_5.pdf) 実は,この条約ができる前に,ハーグ統一売買法条約というのもあったのですが, 加盟国が少数にとどま…

憲法の論証が苦手なところを逆手に取る

「最高裁に告ぐ」でも書きましたが、最高裁は憲法判断が苦手。 婚外子差別が憲法14条に違反するとしたこの事件でも、 憲法14条違反の論証部分は、司法試験では不合格答案 「合理性の基準を始め憲法判断における理論面での考察が抜け、「事案に応じた枠組…

少額管財に続き「少額再生」を作ろう by園尾隆司弁護士

2018年の全国の民事再生事件の件数は、たったの87件。会社更生事件も2件しかなかった。 膨大な数に上る零細事業者は、300万円を超える現在の再生予納金を支払えないのである。 だとしたら、「少額再生手続」の「運用」を始めるしかない。 予納金を…

「噴火は滅多に起きないから考慮する必要がない」ではダメ

「火山の噴火なんて滅多に起きないから、原発の安全性を判断する際に、考慮しなくてもいい」というロジックで済ますことは許されない。実際に火山の噴火は起こりえるんだから。 学者による福岡地裁判決批判です。 こういうロジックで済ませてしまうから、滅…

読むだけで怒りがこみあげてくる人権侵害が日本で行われている。

こんな、とんでもない人権侵害が平気で行われていることについて、森雅子法務大臣は、全く胸が痛まないのだろうか・・河合前法務大臣は、この問題に取り組もうとしていたのだが、辞任に追い込まれてしまった。https://wpb.shueisha.co.jp/news/society/2020/…

改正民法 民法94条2項類推から民法93条2項類推へ

民法94条2項類推の要件は、真正権利者との「通謀や共働」ではなく、真正権利者に虚偽の外観の作出又は承認があったことである。 それなのに、これまで、「通謀」を要件とする民法94条2項が類推されてきたのは、ほかに類推すべき規定がなかったからであ…

こうして母子家庭は貧しくなる

公立中学校の家計負担は平均年48万円 https://www.huffingtonpost.jp/entry/uniform-student-gap_jp_5c5a52fce4b012928a302dc4 ところが、養育費・婚姻費用を計算する際は、 公立の中学生にかかる費用は年額13万1379円として計算されます @司法研修…

産経さん、それはダメでしょ・・・

こういう記事を嬉々として載せる産経新聞。 不当な懲戒請求を大量に誘発する結果になるということがわからないのだろうか。この新聞社は。 その場合、その責任をとれるのだろうか。この新聞社は。 https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%e3%80%8a%e7%8b%…

日本の誇る技術力が外国資本からの攻撃に脆弱になっている

日本の誇る技術力が外国資本からの攻撃に脆弱になっている by中東正文名古屋大教授,コーアランシンガポールナンヤン工科大学助教授@金判1577号1頁 「ダブルコード(コーポレートガバナンスコード、スチュアードシップコード)の影響で、日本の上場…

主債務者が行方不明になると困る 民法改正で

期限の定めのない債務 主債務者が行方不明になってしまったので、連帯保証人に請求。 問題は、その場合の遅延損害金請求。 民法改正前は、絶対効があったので、 連帯保証人に対する履行の請求によって 主債務者を遅滞に陥らせることができたのだが、 民法改…

日本裁判官ネットワークの方が名前や顔を公表されています

日本裁判官ネットワークの方が名前や顔を公表されています これは初めてのことではないでしょうか・ 日本裁判官ネットワークのみなさんも、全国の方々に顔や名前を覚えてもらったうえで情報発信をした方向が絶対にいい思ってました(^_^)。そうでなきゃ伝わら…

岡口基一と岡ロ基ーの違いがわからない裁判所当局(笑)

ツイッターに「岡ロ基ー」(オカロキー)さんという方がいらっしゃいます(ロはカタカナのロ、ーは伸ばす棒)。 ところが裁判所当局は、この方の名前を、「岡口基一」と読み間違えたうえ、この方が「裁判官を含む裁判所職員」かもしれないと言い張って、山中…

御厨教授「最高裁も安倍政権に反するような判決はほとんど出していない」

「最高裁判事は、事実上、官邸が決めている。最高裁も安倍政権に反するような判決はほとんど出していない」by御厨貴東大名誉教授 @文芸春秋2019年12月号199頁 なお、最高裁判事の決め方が、最近、どのようになっているかは、「最高裁に告ぐ」の…

自転車も強制保険制度にした方がいいかもですね

自転車事故で大変な被害。 訴訟を提起して9500万円の認容判決をゲット。 しかし、加害者が破産したことで、現実の支払につながりませんでした。 神戸地判平成25年7月4日 窪田充見教授@交通事故判例百選72頁 その他の今日の「司法」ニュース 「配…

被告のフェイスブックアカウントが判明していたら公示送達はできませんby京都地裁

「被告のフェイスブックアカウントが判明していたら公示送達はできません」 京都地裁平成31年2月5日決定@判タ1464号175頁 理由「フェイスブックのメッセージ機能を使って、被告に接触を試みることが可能であるから」 原告は、「被告名義のアカウ…

婚姻費用・養育費が変わった(その6):養育費等が増額された理由

今回、算定表の改訂で、養育費や婚姻費用の額が増額されましたね。 その理由の一つとして、夫の「職業費」の算定方法の変更があります。 夫の職業費には、「被服及び履物,交通,通信,書籍,雑費,こづかい,交際費」があるのですが、従来は,この「通信、…

婚姻費用・養育費が変わった(その5):事業所得者の総収入

事業所得者の総収入は、確定申告書の「課税される所得金額」に、税法上は控除されたが現実には支出されなかったものを加算します。 @要件事実マニュアル5巻117頁 これまでも、「青色申告特別控除」や、現実に支払がされていない「専従者給与(控除)額…

さようなら! 三宅雪子さん!

俺の記者会見の時に、フリーのジャーナリストとして、いくつも質問をしてくれた三宅雪子さん。 (弁護士ドットコムの山下さん(=俺も飲みに行っている飲み屋のバーテンダーもやってる)が、その記者会見を録画してくれていて、今でもユーチューブで見れます…

日本の刑事司法について、海外の論調は厳しいですね。

カルロス・ゴーン氏が逃げた理由、日本の刑事司法の10個の闇。https://www.igaki.work/entry/14_rigged_japanese_justice_system そんな日本の刑事司法について、海外の論調は厳しいですね。 WSJの最新社説「ひどい扱いを受け、日本から逃亡したゴーン氏を責…

表現にこだわる裁判長

表現にこだわる裁判長 その1 「・・・ところ,」という表現を認めない某裁判長「・・ところ、」というのは,ごまかしであって,本来そこで用いるべき助詞を使うべきであると。新しく陪席になった裁判官が,そのルールを知らずに,起案を提出してしまうと,…

司法の役割を理解していない最高裁判事たち

多数派が占める政治勢力によって少数者の人権が侵害されている。そういう場面こそが、まさに司法の出番であって、その時に司法が黙り込んでしまうのでは、司法の存在意義はもはやありません。 結論はどちらであれ、きちんとした理由を述べて判決をすべき場面…

義務と権利は別物だと思うが・・。東京地裁の保全部本にあった、ちょっと???な記載

「仮に「忘れられる権利」という権利を一般的に認めるとすると,その対抗概念として「忘れる義務」というものがあるということになりそうであるが,一定の事柄を忘れるか覚えているかは,まさに個人の内心の自由そのものに属する事柄であり,日本国憲法19…

最高裁調査官室には、錬金術師と魔術師がいる。

最高裁調査官室には、錬金術師と魔術師がいる。 前者(判例作りたがり)は、なんでもない事件を、法律上の論点てんこ盛りの事件に仕立て上げる。 後者(仕事さぼりたがり)は、問題ありありの事件を、全部事実認定の問題に落としてしまい、上告不受理とする。 …