岡口基一の「ボ2ネタ」

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重要判例

不執行合意がある場合,執行異議ではなく請求異議によるべきとした最高裁決定

最決平成18年9月11日 判例変更だそうですが,実務では,従前から,こういう取り扱いになっています。◇この論点は,要件事実マニュアル下巻342頁で触れています。 ◆この判例は,改訂版の要件事実マニュアルに掲載予定です。 http://kanz.jp/hanrei/da…

通常損耗賃借人原状回復特約の成立を否定した高裁判決

大阪高判平成18年5月23日 最高裁判所平成17年12月16日第二小法廷判決・裁判所時報1402号6頁に従ったものですね。 http://kanz.jp/hanrei/data/html/200605/20060911165353.html http://kanz.jp/hanrei/search.html?cat=11&

未決勾留日数の算入について判示した最高裁決定

最決平成18年08月30日 http://kanz.jp/hanrei/detail.html?cat=11&key=&ord=&court_cd=&arv=&date=&idx=764 http://kanz.jp/hanrei/data/html/200608/20060831130701.html

集合動産譲渡担保に関する最高裁判決が出ています。

1 動産譲渡担保が同一の目的物に重複して設定されている場合,後順位譲渡担保権者は私的実行をすることができない。 2 集合動産譲渡担保の設定者が,目的動産につき通常の営業の範囲を超える売却処分をした場合,当該譲渡担保の目的である集合物から離脱し…

建物買取請求権の行使により,建物収去土地明渡請求が全部棄却されるとした高裁判決

東京高判平成17年6月29日判タ1203号182頁 借地権の無断譲受人に対し,所有権に基づく建物収去土地明渡しを請求したところ,被告が借地借家法14条の建物買取請求権の行使した事例です。 この行使で,建物の所有権が原告に移転したことにより,…

除斥期間(民724後段)の起算点を損害発生時とした最高裁判決 B型肝炎訴訟

→新聞記事 http://news.goo.ne.jp/news/sankei/shakai/20060617/m20060617000.html?C=S →最高裁のHP http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=33231&hanreiKbn=01 起算点を加害行為時ではなく損害時とした…

車両保険の偶然性の主張立証責任 最高裁第3小法廷でも

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060606-00000064-kyodo-soci 第1小法廷判決については,topの6月2日の記事を参照してください。

車両保険金請求について,「事故の偶然性」が請求原因の要件事実にならないとした最高裁判決が出ました

これまで実務では,これを請求原因の要件事実として,保険金を請求する方に,「偶然起きた事故であること」の主張立証責任を負わせていました(とりわけ,保険契約において,「偶然な事故」について保険金を払うという約款がある場合はなおさらでした)。 本…

瑕疵ある完成建物の請負人が注文主に対し不法行為責任を負う場合について具体的に判示した判決例 

福岡高判平成16年12月16日判タ1180号209頁 この判決は,請負の目的物に瑕疵があるからといって当然に注文主に対する不法行為責任が問題になるわけではなく, 瑕疵の程度・内容が重大で,完成した目的物の存在自体が社会的に危険であるような場…

自動車による通行を前提とする囲繞地通行権の成否等の判断基準を判示した最高裁判決

H18.3.16 「自動車による通行を前提とする210条通行権の成否及びその具体的内容は,他の土地について自動車による通行を認める必要性,周辺の土地の状況,自動車による通行を前提とする210条通行権が認められることにより他の土地の所有者が被る不利益…

民704条の利息の利率について判断した東京高裁判決

東高平成17年7月21日金法1761号42頁 利息制限法を超えた過払利息等についての返還請求です。 商人である貸金業者が,年6分で営業している場合であっても,過払利息等の返還請求における民704条の利率は年5分としたものです。 この点,例えば…

民94条2項における権利者の帰責性について判示した最高裁判決

「不実の所有権移転登記がされたことにつき所有者に自らこれに積極的に関与した場合やこれを知りながらあえて放置した場合と同視し得るほど重い帰責性がある」ケースで 民94条2項,110条類推を認めたものです。事例判例ですが,帰責性の程度を低減させ…

共同相続人の一人が相続分の限度で取得時効を援用した場合の権利関係について判示した高裁判決

高松高判平成16年12月17日判タ1191号319頁 被相続人の占有による取得時効が完成した場合において, 共同相続人の一人が自己の相続分の限度において取得時効を援用した場合, 遺産分割成立までは,援用者の相続分の範囲内で共同相続人全員の共有…

目的不動産の占有の移転を伴わない,買戻特約付売買契約は,譲渡担保契約であるとした最高裁判決

最判平成18年2月7日 http://courtdomino2.courts.go.jp/judge.nsf/%24DefaultView/2622682650F9A8374925710E001CC01C?OpenDocument 「不動産売買装う高利金融の貸手優位に歯止め」と報道されています。 http://www.asahi.com/national/update/0207/TKY200602…

配偶者の連れ子(未認知の非嫡出子)について特別養子縁組を認めた裁判例

名古屋高決平成15年11月14日家月56巻5号143頁 未認知の非嫡出子ケースは,高裁判決では初めてのようです(認知ケースでは東高決平成8年11月20日家月49巻5号78頁がある)。

消費者金融訴訟 過払金を,別個独立の債務と相殺した裁判例

さいたま地判H17.12.26 従前の貸金債務につき利息を払いすぎていて過払金が生じていたのですが, 消費者がその後新たに借りた債務と,この過払金返還債務との相殺を認めた判決です。 相殺は,黙示の合意を認定したもので,また,過払金返還請求権は消滅時効期…

特許の消尽の例外について,基準を明示した知財高裁判決

知財高判H18.1.31 従来,裁判実務や学説において,「修理と生産」理論で処理されてきた事例につき,この理論では判断できないケースであるとして,もっと,一般的に,消尽の例外を判断する基準を定立したものです(従来の裁判例等につき判時1909号185…

破産者が破産手続中に自由財産の中から破産債権に対して任意に弁済できるとした最高裁判決

最判H18.1.23 http://courtdomino2.courts.go.jp/judge.nsf/%24DefaultView/6D991BCB97A8E777492570FF001AAF90?OpenDocument

日掛け(日賦)金融業者が敗訴 最高裁判決

17条書面性,18条書面性を否定し,出資法附則9項の要件具備を否定し,さらに,期限の利益喪失約款がある場合に,みなし弁済を否定したものです。 ◆この判例は,改訂版の要件事実マニュアルに掲載する可能性があります。 http://megalodon.jp/fish.php?u…

宗教法人の活動につき不競法の適用の対象となる範囲を判示した最高裁判決

最判平成18年1月20日 「宗教儀礼の執行や教義の普及伝道活動等の本来的な宗教活動」,「本来的な宗教活動と密接不可分の関係にあると認められる事業」は不正競争防止法適用の対象外宗教法人が行う収益事業としての駐車場業のように,取引社会における競…

シティズ判決第2弾

最判H18.1.19 既報のとおり,シティズ判決が昨日も出ています。 ◆この判例は,改訂版の要件事実マニュアルに掲載する予定です。 http://courtdomino2.courts.go.jp/judge.nsf/%24DefaultView/AF74B6AD7D20EA7B492570FB0021BC10?OpenDocument

建物への落書きが建造物損壊罪に当たるとした最高裁決定

最決H18.1.17 最高裁では初判断のようです。 →最高裁のサイト http://courtdomino2.courts.go.jp/judge.nsf/%24DefaultView/C6DA1C6DB8D63E69492570FA002D35C0?OpenDocument →新聞記事 http://megalodon.jp/fish.php?url=http://headlines.yahoo.co.jp/hl%3f…

時効完成後の第三者が背信的悪意者になる場合について判示した最高裁判決

最判H18.1.17 時効取得者と時効完成後の第三者は対抗関係になりますが,この第三者が背信的悪意者である場合とは,どういう場合かを判示したもので,第三者が「当該不動産の譲渡を受けた時点において,甲(=時効取得者)が多年にわたり当該不動産を占有して…

期限の利益喪失条項がある場合に貸金業法43条のみなし弁済に当たらないとした最高裁判例

最判H18.1.13 期限利益喪失約款がある場合,事実上,支払を強制されるから,任意の支払とはいえないとしたものです。 その他,18号書面性についても判断し,その中で,内閣府令を違法としています。 この事件は,貸金業者シティズ関係のものですが,某情報…

開業医の診療報酬の差押え可 別居妻の訴え認める最高裁決定

最判H17.12.6 「給料その他継続的給付に係る債権」には当たらないとした原審を覆したものです。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060101-00000203-yom-soci http://courtdomino2.courts.go.jp/judge.nsf/%24DefaultView/4CFC25F0BA5D2D9E492570E30024AC…

共同相続を単独所有登記のケースで,更正登記ではなく全部抹消登記によるべきとした最高裁判決

最判H17.12.15 共同相続したのに相続人の一人が単独相続登記をしてしまっている場合に,他の相続人は更正登記を求めることが出来るというのが基本判例ですが,これは,あくまでも更正前後で登記の同一性がある場合に限られます。 本件は,単独相続登記をした…

賃借建物の自然損耗につき賃借人に原状回復義務を負わせる特約が成立していないとした最高裁判決

最判H17.12.16 http://courtdomino2.courts.go.jp/judge.nsf/%24DefaultView/321CD560C6CC179C492570D90026393D?OpenDocument 契約書に,通常損耗補修特約の成立が認められるために必要なその内容を具体的に明記した条項はなく,入居時の説明会でも説明がな…

リボ払い 17条書面性を認めなかった最高裁判決

最判H17.12.15 →最高裁のサイト http://courtdomino2.courts.go.jp/judge.nsf/%24DefaultView/313561D4D2F463CE492570D80024ECDE?OpenDocument みなし弁済にあたらないとして,利限法の利率を超える分の既払利息の返還を認めたものです。 ◆この判例は,改訂…

不作為を目的とする債務の間接強制の要件事実 最高裁決定

平成17年12月09日第二小法廷決定 「不作為を目的とする債務の強制執行として間接強制決定をするには,債権者において,債務者がその不作為義務に違反するおそれがあることを立証すれば足り,債務者が現にその 不作為義務に違反していることを立証する…

最高裁が行政訴訟の原告適格を広く認める判断 小田急訴訟

H17.12.7大法廷判決 →新聞記事 http://whatever.say.jp/program/snap_shot/site/11340865573220/ →最高裁のサイト http://courtdomino2.courts.go.jp/judge.nsf/%24DefaultView/D9A3F2658307F7AC492570D100104E74?OpenDocument