岡口基一の「ボ2ネタ」

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2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「年3%」の主文が、判例秘書などに載り始めたね

民法改正 「年3%」の主文が、判例秘書などに載り始めたね 大阪地方裁判所令和2年5月28日判決 主 文 被告は,原告に対し,〇万〇〇〇〇円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 労働訴訟で、付加金の主…

本訴請求権を自働債権とする相殺の抗弁の可否

本訴反訴がある場合に, 反訴において,本訴請求権を自働債権とする相殺の抗弁は,認められないのが原則です。 なぜなら,本訴と反訴の弁論が分離されてしまうと,本訴請求権について別々に判断されてしまい,既判力のある判断の矛盾が生じかねないからです…

潮見先生、相変わらず、貸借型理論をディスっているww

「かつての司法研修所での教育の場で「貸借型理論」あるものが唱えられたことがあるが、民法学説では全くと言ってよいほど支持を得られなかった」 @潮見佳男・プラクティス民法債権総論(第5版補訂)67頁(2020年、信山社) その他の今日の司法ニュ…

ギンズバーグ判事の後任を急いで決めようとしている理由

トランプ大統領がギンズバーグ判事の後任判事を急いで決めようとしているのは、大統領選挙で僅差となった場合、かつてのブッシュ対ゴア事件のように、大統領選挙の結果が連邦最高裁に持ち込まれることも考えているのだろう。 ブッシュ対ゴア事件の際には、実…

要件事実:貸借型理論の亡霊

10訂民事判決起案の手引(補訂版)には、事実摘示記載例集-民法(債権関係)改正に伴う補訂版―というのがあるんだけど、その37頁の占有権原(賃貸借)の記載例は、昔の貸借型理論をそのまま使っているね。 「原告は、被告に対し、令和3年10月1日、…

法務省関係者「再提出の中身が全く同じ内容では同じ結果になる」

権力者が変なことをしないようにしっかり監視するのが国民の義務 この問題は、アラート赤レベルです。 単に検察官の定年を延長するだけの内容であれば何の問題もないので、 中身をしっかり見る必要があります、 「法務省関係者は「再提出の中身が全く同じ内…

最高裁も間違える

最高裁の判断も必ず正しいわけではなく、間違いも当然にあります。しかしその間違いを是正することはできません。 「最高裁は、誤判に対する救済という点で、最後の砦となるはずのものであるが、ここでもやはり判断ミスが生じる。最高裁裁判官も人の子である…

消滅時効の主観的起算点(民法166条1項1号)

民法改正 消滅時効の主観的起算点(民法166条1項1号) 消滅時効は,権利行使ができると知った時が,主観的起算点となりますが, 契約上の給付に係る債権については,通常は,これが客観的起算点(例えば弁済期の到来時)と一致します。 そして,債権者…

この大事な条文も、ずれてるね・・・

これも結構大事な条文なんだけど、ずれてるね・・ 登記訴訟のように、意思表示をすることを命ずる裁判。 その執行に係る民事執行法174条(意思表示の擬制)は、 同法改正で、同法177条にずれています。 その他の今日の司法ニュース 「裁判は調書依存と…

繰り返される「金沢市庁舎前広場事件」

この画像は,「広場」ではなく「通路」であると,地裁・高裁が認定 そして,通路なんだから集会は自由にはできないとの判断 日本の裁判所は,「パブリックフォーラム論」を表現活動の規制の根拠として利用しているのではないかという問題指摘がありましたが…

民事訴訟:弁論の分離の制限

併合事件の弁論を分離するかどうかは裁判所の裁量ですが、 これが制限される場合があります。 (民事訴訟マニュアル上414頁に列挙しています) 最高裁判決(令和2年9月11日)により、 弁論の分離が制限される場合が、一つ増えました。 本訴が請負報酬…

業界標準となった鹿児島地裁判決

鹿児島地裁 すごいな カプセル入り玩具のカプセルを幼児が誤飲という事件で, 鹿児島地裁は,こういう場合のカプセルのあるべき姿について判示したところ, この判示が,そのまま,この分野の安全規制のスタンダードになっているそうです(日本玩具協会・「…

権力者を監視せよ アラート赤レベル

早速始まったね 検察庁法改正案 上川法相「再提出検討」 https://www.47news.jp/news/5266142.html そして、こういう過去のある菅さん↓が総理に 「甘利明衆院議員のUR疑惑、経産相だった小渕優子衆院議員の政治資金疑惑など「菅ー黒川のホットラインでスキャ…

全盲の弁護士が激怒した判決

大胡田誠弁護士(全盲の弁護士)のコメント 「☆日本の司法の差別意識が露骨に表れた不当判決 9月15日、全盲の女子高生が被害に遭った交通事故の裁判で、将来その子が働いて得られたはずの収入(逸失利益)は、健常者の7割にとどまるという判決が出されました…

政権と検察のバトルは続く

河井案里議員の選挙には自民党から巨額の資金が。 河井夫婦の逮捕起訴を強行しようとした検察に対し、 そうはさせまいと、 政権は、例の黒川定年延長を、 二人の女性法曹を使って敢行。 「口頭決裁口頭承認」というほぼほぼ違法な手段で。 ところが、これに…

誤った事実に基づく戒告処分には何の正当性もない

俺のこないだの分限裁判の決定 俺が「閲覧者の性的好奇心に訴え掛けて,興味本位で閲覧するよう…誘導」して当該ツイートをした」と認定しているよ・・・。最高裁が・・・。 ひどい話だよね・・・(怒)。 俺がそんなことするわけないじゃん。 証拠もないのに…

森雅子法務大臣の「猿芝居」

案の定、 検察官の倫理研修を強化する程度の話に終わりそうだね(笑) https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200910/k10012611711000.html?utm_int=news-new_contents_latest_002 検察の中立性を侵す法案をしれっと通そうとしたという、 「歴史的」といってもい…

国民による権力者の監視の必要性  アラート「赤」レベル

国民による権力者の監視 アラート「赤」レベルのことが安倍政権で行われました。 それが、検察の中立化を損なう法律改正案の提出 幸い、オール弁護士会&俺&神村検察官などの反対も功を奏して、廃案となりましたが、 実は、まだ問題は終わっていません。 国…

労働時間の適正把握義務の根拠条文

労働法の、この条文もみつけにくい・・ 使用者には,労働者の労働時間の適正把握義務があり,それが,労働訴訟のいろいろな場面で現れます。 例えば,残業代請求で,実労働時間の立証責任は労働者側にありますが,使用者に上記義務があることを根拠に,裁判…

誤植の連鎖

宇賀克也・行政法概説Ⅱ(第6版)376頁下から3行目は、 公務員による退職手当の支払請求の例として、 最判平成12年12月19日民集54巻9号2748頁を挙げているが, 実は,これは誤植 (この判例は,「 人骨焼却差止請求事件」https://www.court…

ずれる条文

条文がずれると、本を書く方としてはいろいろ困る(笑) 民事執行法の中でも重要な条文 「差押えの効力は、差押命令が第三債務者に送達された時に生ずる。」 これって、民事執行法145条4項だったのですが、 別の規定が4項に入ったため、1つずれて、今は…

韓国の「岡口基一」裁判官が退官

某弁護士のFB投稿より 韓国の「岡口基一」裁判官が退官。「作家になる、弁護士になるつもりはない」。 「ソウル東部地裁問題児リスト入りの裁判官。退官は中央地裁で。村上春樹の長年のファンとして知られる。 2020年2月、コロナウィルス騒動の最中、ユーソ…

安全配慮義務の範囲を広げた裁判例

直接の労働契約がなくても,安全配慮義務の問題が生じることがあります。 労働の現場で、下請の従業員などを、 設備や道具等を用い事実上の指揮監督をするなどして、 実質的に管理している場合です。 この場合、この「実質的な管理支配性」があることが、安…

今年の司法試験合格者数を占う短答試験合格者数

明日9月8日(火)に、今年の司法試験と予備試験の双方につき、短答試験の合格発表があります。 発表時間は、司法試験が16時、予備試験が17時です。 注目は、何といっても司法試験の短答合格者数です。 今年の司法試験は実受験者数が3703人しかいませんでした …

賃金債権の消滅時効期間 附則だとわかりにくいね・・

賃金債権の消滅時効期間 これはわかりにくい・・。 普通、115条しか見ないだろ・・。そのずっと先にある附則143条3項まで見るか? 労働基準法 第百十五条 この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から五年間、この法律の規定…

また、産経が適当なことを・・

産経新聞 「法務省幹部は「国家公務員法も黒川氏の人事も法務省から官邸に上げたもので、官邸は認めただけだった」と明かす」 たしかに当初の検察庁法改正法案は、そうだったと思うけど、 いきなり、口頭決裁・口頭承認とやらで、国家公務員法の解釈が変更さ…

また、産経が適当なことを・・

産経新聞 「法務省幹部は「国家公務員法も黒川氏の人事も法務省から官邸に上げたもので、官邸は認めただけだった」と明かす」 たしかに当初の検察庁法改正法案は、そうだったと思うけど、 いきなり、口頭決裁・口頭承認とやらで、国家公務員法の解釈が変更さ…

付加金を免れるには控訴OR請求異議?

労働訴訟 残業代訴訟で敗訴して付加金の支払を命じられた使用者 労働者に残業代を支払った上で、控訴をすれば、きちんと残業代を支払ったことに免じて,控訴審が,付加金の支払を命じた部分を取り消してくれます。 では、敗訴後に、残業代を支払ったけど、控…

入管での人権侵害は司法が救済すべき

裁判所によって仮放免が認められた事例がありました。 入管での外国人の扱いが国際的にも非難されています。 まるで人だと思っていないかのよう。女性を男性らの前で全裸で歩かせたり。 そこで、司法の出番です。 ある収容外国人は、拘禁性うつ病にり患した…

会社法改正法 施行は令和3年3月1日のようです

改正法の施行期日は,令和3年3月1日であるようだ。改正商業登記法の施行期日は,令和3年2月15日であるようです。 https://blog.goo.ne.jp/tks-naito/e/5667f45c03941aeb2c735b38fb83183a 改正内容はこちら↓ https://business.best-legal.jp/1902/ そ…